〈事例3〉
有限会社よしだ商運|後継者人材バンクの事例紹介
後継者不在の運送取次業
転勤を契機に
後継者人材バンクに
登録した
若手起業家への
事業引継ぎを実現
事業を引き継いだ柳橋さんは、元々大手コンビニチェーン店で店舗の経営指導をしていた。運送取次業は未経験。決め手は?どのように事業引継ぎを進めていったのか?後継者人材バンクの活用事例を振り返る。
石川県で経営者になる。
強い想いを胸にセンターに相談
柳橋さんは、幼いころから親族にも個人事業主が多かったこともあり、自然と将来は経営者になりたいと考えていた。また、母親の地元の石川県に移住したいとも思っていた。
そんな中、務めていた会社での転勤希望が叶い石川へ。
赴任期間中に事業を引き継ぐ形で代表者になること。その思いを胸に石川県事業承継・引継ぎ支援センターに相談した。
相談を受けた北さんは、「やる気と実績はありそうだった。ただ業種が絞られていないところは気になった。」と。当時の印象を振り返る。
後継者人材バンクでは、やりたい事業がはっきりしていた方が企業の紹介もしやすく、成約に結び付く可能性が高まる。
まずは県内でも希望とする地域、知見のある流通業を中心に紹介してみよう。と、北さんはいくつかの企業を紹介した。
マッチングから9カ月で
株式譲渡契約を締結
いくつかの企業と会ったが、自分が経営するイメージを持ちながら、その都度質問書、確認書を用意し、疑問点を解消していった。最終的に出会ったのが、芳田さんだった。
「芳田社長がたくさん喋ってくれるので、自分が引き継いだ後のゴールイメージが描けた。それが一番決め手かなと思います。もちろん、数字的な部分やビジネスモデルも引き継ぎたいと思えるものでした。」
柳橋さんは自分が引き継いだらこういう事業展開していきたいというものを一つ一つアピールしていった。疑問点についても北さんをはじめ、センターの専門家も相談し、都度解消していった。
異業種から入ってきて暗黙知があり過ぎると経営は難しい。引き渡す側の芳田さんも柳橋さんの想いを受け、包み隠さず話した。事業承継は一気に進んでいった。
成長のため、更なるM&Aを
よしだ商運を引き継いでから、柳橋さんはデジタル化などの経営改善を進めていった。「先代の芳田社長がずっと築いてきた信用でこの商売が成り立っている。本当に電話1本でやり取りするような商売なので、その信用を引き続き積み重ねていきたい。その上で、時代に即したより付加価値のある企業に変えていきたい。」先代の想いも引き継ぎつつ、従業員も含めて関わることで幸せになる会社を目指している。
センターには新たなM&A案件の紹介も依頼している。後継者人材バンクを活用した創業経験を生かして、更に企業を成長、発展させていくため、柳橋さんは進み続ける。
「『本気度』が重要なんです。」今回の成約事例を振り返って、北さんは何度も「本気度」という言葉を口にした。柳橋さんの熱量に応えるために、北さんも本気で向き合った。たくさんの質問を受け、それに丁寧に答えていった。
「時代的に合ってないかもしれない。それでも熱意で前に進むことがある。自分の机の上で描いている範囲から超えるには、その一歩を踏み出す熱意とか本気度がチャンスを広げていく一つになる。」柳橋さんの言葉だ。
「本気度」を伝えること。先代が築いてきた事業を引き継いで創業する、後継者人材バンクで欠かせない要素なのかもしれない。
有限会社よしだ商運
- 所在地:石川県河北郡内灘町鶴ヶ丘3丁目157-14
- 会社設立:2003年
- 事業内容:運送取次業