〈事例29〉SOUPHOLIC|第三者承継の事例紹介
ひと匙の勇気
第三者承継が拓いた夢のかたち
秋田市民市場近くにあるスープ専門店。前経営者が別店舗に専念するにあたり譲渡を希望。飲食店経営を夢に抱いていた女性の公務員からの転身による第三者承継。
転機 不安だらけの未経験業界
譲受者 露﨑 由美子
公務員をしていた露﨑さん(現経営者)は 「飲食店をやりたい」というのが幼いころからの夢。しかし、なにもかもが未経験で不安でいっぱいだった。秋田県事業承継・引継ぎ支援センター(以下センター)の後継者人材バンクに登録し、興味を惹かれたのが秋田市民市場目の前にある「SOUPHOLIC」 だ。
不安 飲食も経営も未経験
未経験ながらスープの魅力に惹かれた露﨑さんだが、SOUPHOLICには客として通っており、「ここが秋田にあるならスープは止めようと思った」と語るほど良いお店だとも思っていた。しかし、 当時のSOUPHOLICは収支が厳しめの経営状況で「飲食も経営も未経験な自分が承継してやっていけるか?」という迷いや不安は尽きなかった。
支援 不安は各機関の協力で解消
別店舗の経営に専念する為、須田さん(前経営者)からセンターへ事業譲渡の相談があったのは2023年。前任者から案件を引継いだセンターの加納さんは後継者人材バンクの登録者にマッチングを打診。5名の候補者の内、一番関心が高かったのが露﨑さんだった。
しかし、当時の経営状態は露﨑さんの不安を払拭できる状態ではなく、加納さんは経営のプロであるよろず支援拠点へ相談する事を提案した。
須田さんと露﨑さんの事業譲渡のマッチングが行われ、契約締結に向けて動き出した。経営の不安要素を改善する為、よろず支援拠点の佐藤さんはフードコーディネーターを交えてメニュー開発を行う他、地元農家との橋渡し、店舗オペレーションや集客についても各スペシャリストを招集する等、多方面から支援を行った。
加納さんは事業譲渡契約締結のギリギリまで根気強く伴走支援をする事で不安の払拭に努めた。「途中何度も(事業譲受を)止めるという判断もあると伝えました」と、当時を振り返る。
あとは走るしかない!
承継前には半年ほどかけて須田さんからレシピやオペレーションなど基本的な事は教わり、方々からのアドバイスも受けていたが、まだ不安でいっぱいであった。しかし、「迷っていても始まらない!走るしかない!」と奮起し2024年4月に承継を完了。
オペレーションを見直し、よりスープに特化したメニューへと変更した。その甲斐あって常連さんが増え、走り続けることができた1年だった。「今後はもっと生産者の方々とつながって良い野菜を取り込んだり、お客さんも従業員も笑顔でいられるお店にしたい」と露﨑さんは語る。未経験の起業は不安も悩みも課題も多いが、最後に必要なのはひと匙ほどの踏み出す勇気なのかもしれない。
成功のポイント
秋田県事業承継・引継ぎ支援センター
サブマネージャー加納 広明 さん
悩みに直面しても様々な支援を受けながら前向きな姿勢と強い信念を持つことが成功につながりました。
秋田県事業承継・引継ぎ支援センターの事業承継事例

SOUPHOLIC
- 所在地:秋田県秋田市中通6-9-10-C
- 創業:2014 (平成26) 年
- 事業内容:飲食店