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お金よりも看板よりも大切なこと
地域への想いも継いだ事業承継
- 第三者承継支援
- 近畿地方
- 小売業
後継者候補であった井村さんのご子息は、事業承継の意向はなく、それぞれ別の道を選択。ご主人が体調を崩し、継続困難に。スタッフも高齢で後継者不在となっていた。
地域に必要だったから
ギリギリの運営状況、ギリギリの精神状況に
2006年にI-Energyを買い取ってから息子さんも運営を手伝っていたが、今後の事を考えて転職したのを機に運営から離れる。その後も少数で運営していたが、整備を担当していたご主人も体調不良で運営を離れることになる。残ったメンバーで朝7時~夜7時まで配達も含めて対応してきたが、心身共に限界だった。「引き継いでくれる人がいればお客さんに迷惑をかけない、地元に迷惑をかけない」と後継者を考え始めたのはこのタイミング。しかし、個人で探す事は至難の業であり、商工会に労災書類を提出に行った際に、担当者の方へ「スタンドを閉めるかもしれない」とポロッと話した。
相談を受けた津市商工会の小坂さんはすぐに三重県事業承継・引継ぎ支援センター(以下センター)へ相談。連絡を受けたセンターの松本さんは緊急性があると判断して即座に動いた。県内のマッチングはもちろん、石油組合へ相談するなど動いたがなかなか条件にあう相手先が見つからず、最終的には業界新聞への掲載を機に滋賀県のエスジー有限会社との橋渡しを行った。
地域のために「なんとかせなあかん!」
エスジー有限会社は滋賀県と三重県で石油製品の配達業を主としており、現場から動けない建機や農機、重機への給油を行っている。専務である岡さんが業界新聞の記事を読んだのは本当に偶然だった。読んでまず思ったのは「なんとかせなあかん!」だった。すぐに社長の杉本さんに相談した。
突然相談された杉本さんは冷静に「まぁ過疎地域はそうだよね。」と考えたが、岡さんの「三重県に恩返ししないといけなくないですか?」の言葉に動かされるものがあった。そこからの動きは早かった。岡さんは記事掲載の翌日にはセンターへ連絡し、3日後に初回の面談。商売する以上黒字は意識しないといけないが、現実は厳しく黒字は難しいように思えた。杉本さんから「引き分けなら良い」と言われ、「それなら!」と、事業承継に踏み切ることにした。
センターが譲渡の進行を全力でサポート
センターの松本さんは、相談を受けた段階で緊急性を理解し、すぐに動いた。しかし、美杉町の現状も理解しており、難しい案件になるであろう事はわかっていた。町内にガソリンスタンドは計3か所しかなく、他の2か所もゆくゆくは廃業を考えている状況。3つ全部の廃業だけは避けたい。という強い想いはあった。経営は十分やっていける内容だが、それと後継者が現れることは別問題。何より井村さんから示されたタイムリミットが最大の課題だった。センターのネットワークはもちろん、途中から市外に範囲を広げ、石油組合へも連絡した。しかし結果は思わしくなかった。ある時、石油組合の理事長が業界紙の記者を紹介をしてくれ、記事掲載の翌日に連絡が来た。岡さんだった。
それから急に事態は発展。双方の希望を伺い、要望があれば最優先で動き、契約締結まで不都合が無いようにフォローしていく事にした。そして2023年10月、事業承継が完了した。今後も美杉町にガソリンスタンドが残る事、しかも地域の方が困惑しないよう、看板も企業名もそのまま残る事、そして井村さんに笑顔が戻った事で松本さんは安堵した。
譲渡後にも毎日楽しく働ける
三重県事業承継・引継ぎ支援センターによる事業承継事例
事業承継フロー
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1体力的な問題もあり、津市商工会へ廃業する可能性を相談
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2商工会がセンターへ連絡、即時マッチング先の探索を開始するも見つからず
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3業界組合へ連絡し、組合経由でのマッチングを模索
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4業界新聞への記事掲載をきっかけに事業承継が進展
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5必要な資料や情報を集めて譲渡が円滑に進むように支援
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6事業引継ぎの交渉を経て株式を譲渡
企業情報
創業:2006(平成18)年
従業員数:4名
事業内容:ガソリンスタンド
