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「トップダウン型」の伴走支援を展開
営業店主導で取引先の事業承継をサポート
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「将来を対話するきっかけを作ること、それこそが地域金融機関の重要な役割。」 取引先の事業承継問題に直面しながらも、「専門知識の不足」や「繊細な話題への遠慮」から営業店での深掘りに課題があった滋賀中央信用金庫。ブロック長や支店長といったトップ層から実践型研修を展開することで、支援体制の深化を実現させています。
滋賀中央信用金庫 常勤理事
アンケートで見えてきた課題と危機感
滋賀中央信用金庫(以下、滋賀中信)は2022(令和4)年、取引先を対象とした独自のアンケート調査を実施しました。その結果が浮き彫りにしたのは、事業承継の準備を進めていない企業が約半数、とりわけ借入金が多い企業や業況が厳しい企業ほど後継者問題を抱えているという現実です。この状況に危機感を募らせた滋賀中信は、全店を挙げた事業承継支援の取り組みをスタートさせました。
対話を重視したトップダウンの実践的プログラム
滋賀中信の取り組みにおける最大の特長は、日頃から取引先と接点がある若手担当者ではなく、支店長クラスの管理職層からのトップダウンで支援を推進している点です。初年度は支店長らを統括する「ブロック長」自らが受講して事業承継計画書を作成し、2年目は全営業店の「支店長」、3年目は「次席(副支店長クラス)」へと対象を順次拡大しています。職員は自ら仮説を立てて取引先へ出向き、経営者や後継者と将来像について対話を重ねて事業承継計画を策定。さらに、持ち寄った計画書を庫内のグループディスカッションで発表し合い、ノウハウや地域の生きた情報を共有することで、組織全体の対応力を高めています。
現場で生まれた波及効果と深まる信頼関係
この活動は、単なる承継手続きの支援にとどまりません。会社の将来像や株価、親族・後継者との人間関係にまで踏み込んだ深い対話を通じ、圧倒的な信頼関係が構築されたことで、日常的な運転資金や経営課題の相談が滋賀中信に自然と集まるようになったといいます。事業承継問題というと、専門知識や税務・法務面のハードルから苦手意識を抱えがちですが、経営幹部や拠点長が背中を見せることで、「事業承継支援は特別な仕事ではなく本業支援そのもの」という認識も全店に浸透しました。専門知識の有無以上に大切なのは「企業の成長と持続的発展を見据え、経営者と対話を始めること」という気づきが、職員の心理的ハードルを大きく下げたといえます。
滋賀中央信用金庫の事業承継インターバル研修
【Before】
専門知識の不足やデリケートな問題から支援に消極的だった
①本部主導による事業承継支援だったため営業店がかかわりにくい
②従来は外部の専門機関につないでいたためノウハウが蓄積できない
③センシティブな事業承継問題を話題にすることへの抵抗感
④専門知識がなければ支援は難しいという先入観があった
【Support】
トップダウンで研修を受講、実際の取引先の事業承継計画を自ら策定
職員向けの研修は事業承継の概論だけでなく、承継計画策定や対話のきっかけづくりなども学べる実践的なプログラムとしました。単なる座学にとどまらず、職員は自ら仮説を立てて取引先へ出向き、対話を重ねて事業承継計画を策定。さらに計画書を金庫内でレビューし、ノウハウや地域の生きた情報を共有することで、組織全体の対応力を高めています。
【After】
職員のスキルや意識が向上することで本業へのプラス効果も
ブロック長や支店長といったトップ層が自ら実践することで、組織全体のモチベーションが高まりました。このことは若手職員の不安や苦手意識の払拭にもつながります。加えて、経営者と将来像をじっくり語り合う対話を通じ本質的なニーズを掴むスキルが向上するなど、職員の営業力も強化されるという好影響を生んでいます。
1. 職員の変化
専門知識の必要性よりも「経営者の将来像を深掘りする姿勢」の重要性を理解し、主体的な対話ができるようになった。
2. 組織の変化
ブロック長・支店長が率先して動く姿を見て、次席や若手職員からの相談が増加、営業店全体で事業承継の課題を拾い上げるカルチャーが定着した。
3. 事業者支援の変化
経営者・後継者間の対話を促す伴走者として深い関係性と信頼を獲得、設備投資や資金調達といった本業支援へ円滑につながるケースも。
成果・波及効果
・トップダウンにより全店に支援の姿勢が浸透
・対話を通じて本業支援や融資相談が増加
・事業承継支援に対する職員の苦手意識が解消
・取引先の将来像を引き継ぐ組織の資産へ
他機関でも参考にできる3つのポイント
①トップダウンによる意識転換と模範提示
トップ層が実践することで組織全体の意識が向上する
②インターバル研修による情報の共有
作成した計画書のプレゼン・レビューを通じて、支援ノウハウを蓄積する
③事業承継を「本業支援・融資機会」として捉え直す
事業承継支援を日常業務に組み込むことで本業支援ツールになる

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