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「地域の想いを次世代へ」
事業承継支援で拓く未来の一歩
- 北陸地方
- 自治体・多機関連携
小松市と関係10機関が連携する協定を全面的にサポート
——————この事例記事のポイント——————————————————————————————————
1.事業承継支援で中部経産局の実証事業に参加
2.市内事業者1千先にアンケート調査と個別ヒアリング実施(モデル事業の予算活用)
3.「事業承継セミナー」「後継者育成塾」共に定員上回る
4.事業承継支援などで関係10機関と連携協定
小松市が中部経済産業局のモデル事業を活用し、事業承継支援に乗り出す
小松市経済環境部商工労働課
井上 未佳 氏
北陸本部 中小企業アドバイザー
森 清人 氏
小松市はかつて繊維産業や建設機械を中心とした製造業が盛んな北陸屈指のものづくりの街として栄えてきた。しかし、近年の社会経済環境の変化の中、長年愛された事業者が高齢化に伴い廃業する事例が目立ち始めている。全国的な後継者不在という社会課題を、市として喫緊の課題と認識していた。そうした状況の中、中部経済産業局が実施した実証事業「中部地域における自治体を中心とした自走可能な事業承継支援体制構築事業」の参加自治体に公募した(24年8月)。この事業は、自治体がハブとなり、関係支援機関と共に事業承継支援に取り組む体制を構築することを目指すものである。市は早期に本事業への参加を表明し、本格的に事業承継に取り組むことを決めた。市の担当者である井上未佳氏は「小松市の特色ある事業所が後継者不在を理由に廃業し、産業が衰退していくことは、地域の魅力低下につながる。」と話し、当時担当だった松浦雄喜氏も「地域の価値ある資源を何とか次世代に残したい」との思いがあった。北陸本部の森アドバイザー(以下、森AD)は「後継者不在の問題に対し自治体としてもきちんと対策を打つ必要があるとの危機感を持っていた」と振り返る。
まず後継者不足の実態を把握
24年9月に実証事業がスタートした。採択後早速、市は市内事業者向けにアンケート調査の準備を開始し、並行して「自治体の支援はどうあるべきか」について中部経産局や北陸本部等と協議を重ねた。1千先に実施したアンケート調査(2024年9月)の結果「後継者不在」が4割で、そのうち8割が「相談していない」と回答した。これにより、事業承継支援のニーズが確実に存在することが明らかになった。さらに、アンケート調査に加え、詳細なニーズを把握するため、個別ヒアリングも実施した。
小松市主催で「事業承継セミナー」「後継者育成塾」を初開催
市はセミナーや後継者育成塾を開催するにあたっては、北陸本部が全体のコーディネーター役となり石川県事業承継・引継ぎ支援センター(以下、石川県センター)、石川県産業創出支援機構(以下、ISICO)と連携しながら、企画提案から実施まで、市を全面的にサポートした。北陸本部は、「中小機構は全国の地域本部が持つ事例を提供するなど、あくまで市が主体となって企画内容を検討できるよう環境を整える」として、市への様々なアドバイスを行い、関係支援機関への気運醸成にも努めた。その結果、24年11月に市主催の「事業承継セミナー」(参加者42人)、同じく11月から12月にかけて「後継者育成塾」(同25人、計3回)を開催することができた。いずれも、市をはじめ、北陸本部、石川県センター、ISICOが共催し、北陸本部カリキュラムを作成し、講師派遣を行うなどで支援を展開した。続く12月には市が初めて石川県センターと連携して個別相談会を開催し、定員を上回る事業者が相談に訪れた。森ADは「市担当者の熱意を感じた。個別相談会に市が加わったことで、支援機関の関係者の意識にも変化が見られ、その後の連携協定締結など一連の流れができた」と話す。
小松市が関係10機関と中小企業支援で連携協定を締結
連携強化加速へ
事業承継支援の機運の高まりを受けて、24年12月に地域の関係支援機関を集めた「小松市事業承継支援機関連絡会議」を初めて開催した。参加機関からの活動報告を共有するとともに、継続的な連携を申し合わせた。そして翌25年11月には小松市主導で関係10機関と連携協定を締結し、市内全体の関係機関による事業承継支援や創業支援などを中心とした中小企業への支援に関する連携体制を構築した。森ADは「支援機関同士の“ 横のつながり”ができ、同じ方向性のもと共有できる場ができたことは大きい」と強調する。
市では25年度以降も、後継者育成塾や個別相談会、相談事業者への個別訪問や事業承継計画書の策定などに関係機関と連携を図り、積極的な支援を予定している。さらに、新たにオープンネームのマッチングサイトを開設するなど、市独自の支援にも乗り出している。市の井上氏は「事業者には、事業承継を早めに考え、行動してほしい。引き続き、市民やメディアも巻き込み、関係機関とともに地域全体で機運を盛り上げていきたい。引き続き北陸本部にも多方面でのサポートをお願いしたい。」と話している。
小松市総合政策人事育成課主幹
松浦 雄喜 氏
「地域に根付いた事業者の価値ある地域資源を次世代につなぐために、自治体職員として必要なサポートができるよう日々手探りで進めて参りました。」
