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高知県の中山間地域で始まった事業承継支援
市町村が“まんなか”の支援機関プラットフォーム
- 四国地方
- 自治体・多機関連携
————この事例記事のポイント—————————————
1.市町村主体のプラットフォーム構築へ
2.“連携元年(1年目)”は支援機関との気運醸成
3.定例会と勉強会で場づくりと目線合わせ
4.連携元年経て参加検討の自治体広がる
市町村主体のプラットフォーム構築目指す
高知県を四国本部が後押し
高知県商工労働部 経営支援課 チーフ
福川 鈴 氏
四国本部 中小企業アドバイザー
西川 裕泰 氏
高知県の人口は65万人。全国に先駆けて1990年から少子高齢化が進んで自然減による人口減少が続く。特に県内面積の約9割を占める中山間地域における事業者数の減少は深刻。県は2024年3月に「高知県中山間地域再興ビジョン」を策定し事業承継支援を重点施策に位置づけた。「中山間地域の衰退がかなりのスピード感で進んでいた。いち早く地域全体で支援体制を整える必要があった」(高知県 経営支援課 福川鈴氏)と振り返る。中山間地域再興ビジョン策定後、県は次年度に向けて市町村主体の連携体制の構築に向けて検討を急いでいた。四国本部との連携は、こうした県の動きと重なる。きっかけは、県も参加する高知県事業承継・引継ぎ支援センター主催のネットワーク会議で、西川アドバイザー(以下、西川AD)が“地域の支援機関が参画するプラットフォーム構築”の必要性について話をしたこと。福川氏は「地域内連携の重要性を話してもらったので県としてしっかり取り組まないといけない」と感じた。会議後、県からの声掛けを受けて四国本部との連携1年目が動き出す。
連携1年目は市町村の気運醸成急ぐ
核となる会議体を設置し課題を共有
高知県が検討する地域ごとの連携体制が構築できれば、中小機構とも支援機関向け講習会や事業者に対する経営相談や専門家派遣といった支援で連携しやすくなる。県は会議体設置に向けて、市町村に働きかけるとともに、四国本部と協議を重ねた。その結果、県は25年度に市町村と地域の支援機関が参加する定例会と勉強会の各会議体を設置することを決めた。定例会は事業承継支援に前向きな市町村で設置し、課題共有とその解決に向けて参加支援機関(高知県、各市町、その地域の商工会・商工会議所、その地域の地域金融機関の支店、事業承継・引継ぎ支援センター、中小機構四国本部=オブザーバー参加)との連携を強化。最終的に各自治体がロードマップを作成し関連予算措置を講じるなど支援体制の強化につなげる。 勉強会は定例会への参加のステップとしての位置づけ。事業承継支援への関心を高めると共に課題の認識、地域の支援機関同士の顔が見える関係作りを優先する。
定例会は4市町で組織 勉強会は6ブロックで開催
共通の課題に全員が連携
25年度に入って、定例会と勉強会がそれぞれ始動。定例会は東部地域の室戸市、西部地域の土佐清水市、四万十市、四万十町の4市町で組織。年4回開催し各支援機関の役割分担や具体的な案件の掘り起こし、県独自の支援策との連携などについて話し合った。勉強会は県内地域を6ブロックに分けて展開。5月から8月にかけて各地でセミナーとワークショップの全2回で実施。全国本部アドバイザーが講師参加し、地域で取り組む事業承継支援について講義。「私たち県だけでは知りえない他県の連携事例の共有など、専門家の知見による講義は好評だった」(福川氏)。その後のワークショップではM&A体験ボードゲームで売り手や買い手の立場を疑似体験し理解を深めた。本件をサポートした西川ADは「支援機関が共通の課題に向けて全員が連携して取り組める場ができたことは大きい」と意義を語る。
定例会後、参加自治体の関心高まる
「支援機関との接点継続」に意欲
開催後、定例会に参加した4市町のうち3自治体は引き続き定期会合など関係支援機関との接点を継続していく方針だ。またいずれの自治体も今後、事業者向けに定期的な個別相談会を計画・実施していく。地方特有の“周囲の目”に配慮し、会場は市役所や町役場といった相談しやすい環境作りも進める。一方で勉強会に参加した自治体からは県に事業承継に関する問合せ・相談が増え、支援機関などを通じて関連補助金の活用も出始めている。
26年度は、定例会は県東部の安芸市と中芸地区3町(安田、田野、奈半利)で展開していく予定。勉強会についてはより多くの自治体が参加できるようグループワークに重点を置いたプログラムを検討している。福川氏は「中小機構が加わったことで県の事業の説得力が増した。おかげで初年度は連携強化に向けた体制作りができた。『何かあったら中小機構に相談したい』との思いを強くしている。今後も行政として地域の生活に必要な事業者までがなくなってしまうことがないようしっかりと支援していきたい」と語る。
